暖かくなってくる冬の終わりから春にかけては、草花の芽がいっせいに芽を出し、生き物も活動的になるので、子どもたちが「身近な自然」に目をとめやすい時期です。
春を感じられる絵本を読むことで、子どもたちの興味・関心をもっともっと引き出しましょう。
この記事では、春に親子で読みたい絵本の中から、おすすめの18冊をご紹介します。
目次
「季節感」を育むことの大切さ
絵本には、季節の移り変わりや行事をテーマにしたものがたくさんあります。
- 季節ごとの気候、生き物、植物などについて覚えられる
- 行事について知ることで、日本の伝統文化に触れられる
いくつか考えられますが、実はもう一つ、大切なことがあります。
例えば、春に道端でタンポポを見つけたとき、「春が来た」と心がふわっと明るくなる人は多いはずです。
単に花が可愛いからではなく、「寒く厳しい冬を乗り越えた」ということが実感としてわかるので、明るい気持ちになるんです。
自然の「厳しさ」がわかるから、「豊かさ」もわかる、ということですね。
そういう実感がもてるようになるには、4〜5年にわたる春夏秋冬の体験が必要です。
たくさんある季節の絵本は、その“お手伝い”をしてくれる存在。
『絵本児童文学基礎講座Ⅰ すてきな絵本にであえたら』(工藤 左千夫)では、次のように書かれています。
人間にとって様々な人生体験が必要な理由もここにあります。
生存の意味を感じるとは「豊かさ」と「厳しさ」などの対比された実感から生じるとも言えましょう。
年を重ねるとともに、「楽しいだけの世界」とは言えなくなるのが人生でしょう。しかし、逆を知ることによって本当の意味を知ることも人生には多々あると思います。
そして、個々人の主体性の確立や自立などのプロセスには必ずこのような心の働きがあるものです。
小さい子は、「自然」から大人が思っている以上に多くのことを学ぶことがわかります。
ここからは、季節感を育む春の絵本を紹介していくので、選ぶ際の参考にしてください。
春に読みたい絵本18冊
『せかいいちの いちご』林 木林 /文、庄野ナホコ /絵
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【内容】32ページ
ふえると、へる。増えると、減る。いちごが増えて、減ったものとは?
子どもにも大人にも届けたい絵本。好評の『二番目の悪者』につづく、林木林と庄野ナホコによる絵本、待望の第二弾!(小さい書房)
【manpukuポイント】
庄野さんの絵が魅力的な、とても可愛らしいお話です。表紙はピンク色ですが、男の子でも女の子でも楽しめます。
【おすすめ年齢】
5〜6歳から
『いちごばたけの ちいさなおばあさん』
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【内容】32ページ
いちご畑の土の中に住んでいる小さなおばあさんの仕事は、いちごに赤い色をつけることでした。
ある年、春はまだなのに暖かくなって花が咲きはじめたので、おばあさんは大忙し。
地中の奥深くから水を汲みあげてお日さまの光を混ぜ、石の粉を入れて赤い水を作ると、せっせといちごの実を染めていきましたが、雪が降ってきて…。
身近な自然の不思議を感じさせるファンタジーです(福音館書店)
【manpukuポイント】
育てているいちごが緑から赤に色づいていく様子は、どこか絵画のようで、毎朝の変化が楽しみなものです。
この絵本は、そんな色の変化をファンタジーに仕上げたお話です。
【おすすめ年齢】
4〜5歳から
『ふうと はなと たんぽぽ』いわむら かずお
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【内容】32ページ
野原をかけだした「ふう」と「はな」が出会ったのは、きいろい、きれいな花。
「こんにちは。わたしのなまえははなよ。あなたのなまえもはな?」話しかけると、「たんぽぽ」と、声がしました。
ふたりの前にあらわれたのは、テントウムシ。たんぽぽのまわりに、ほかの虫も集まってきます。“あまいみつがすきな”シジミチョウ。“きいろいかふんがすきな”ミツバチ。
そしてふたりは、“花は種を実らせ、新しい命をうむ”“風は種をとばし、いのちを運ぶ”ことを知ります。
そう、ふたりの名前には、そんな意味がこめられているのでした(童心社)
【manpukuポイント】
いわむら かずおさんの描く優しい自然の世界は、未就学の子の心に寄り添ってくれます。
たんぽぽの咲く頃にぜひ読んであげてください。
【おすすめ年齢】
3〜4歳から
『たんぽぽの おくりもの』片山 令子 /文、大島 妙子 /絵
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【内容】32ページ
春になる前に冬ごもりから目覚めてしまったクマの子コロン、まだたっぷり残った雪の中を散歩に出かけます。春を探してどんどん歩いて行くうちに、日が暮れて帰り道もわからなくなってしまいました…(ひかりのくに)
【manpukuポイント】
ちょっとした失敗が、楽しくてうれしい結果に。絶版のようですが、とても良いお話なので図書館で借りてみてください。
【おすすめ年齢】
3〜4歳から
『ちょうちょう ひらひら』まど みちお /文、にしまき かやこ 絵
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【内容】24ページ
ちょうちょうひらひら、うさちゃんにとまった。うさちゃんがうふふ。シカさんにとまって、シカさんがえへへ。次は誰にとまるのかな?軽やかに飛ぶちょうちょうのように子どもの心を明るく楽しくしてくれる絵本(こぐま社)
【manpukuポイント】
1歳くらいから読める春の絵本です。淡くふんわりとした春の色合いが、ページいっぱいに広がっています。
【おすすめ年齢】
1〜2歳から
『ちょうちょ』江國 香織 /文、松田 奈那子 /絵
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【内容】
ずば抜けた色彩センスが満場一致で評価された「第1回MOE絵本グランプリ」受賞作品に、絵本に造詣の深い直木賞作家・江國香織が繊細な詩心溢れる言葉を乗せてつくりあげた、珠玉の絵本!(白泉社)
【manpukuポイント】
小さい子から大人まで、思わずじっくり見入ってしまう素敵な絵本です。贈り物にも。
【おすすめ年齢】
3〜4歳から
『かぜビューン!』tupera tupera
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【内容】38ページ
たんぽぽやソフトクリーム、風がビューンとふいたらどうなる…? どうなるかは風がふいてからのお楽しみ!
あてっこ遊びも楽しいしかけ絵本。しかけをめくるとキャラクターのイメージに合ったものや、意外なものもあって、子どもたちが大喜び(学研)
【manpukuポイント】
奇想天外な仕掛けに、親子で笑ってしまうこと間違いなし。楽しい絵本は、読み聞かせを軌道にのせるための円滑油です。同じ作者の『ぼうしとったら』もおすすめ。
【おすすめ年齢】
1〜2歳から
『ぐりとぐらと くるりくら』なかがわ りえこ /文、やまわき ゆりこ /絵
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【内容】32ページ
ある天気のいい日、ぐりとぐらは朝ごはんを原っぱで食べるため、ぐりぐらサンドを作って、原っぱに向かいました。
原っぱに着いたとき、ぐりとぐらの帽子を誰かが引っぱりました。木の上を見上げると、帽子を2つかぶった手の長いうさぎのくるりくらがすましています。
ぐりとぐらはくるりくらと一緒に朝ごはんを食べたあと、くるりくらの肩に乗って3人で歌いながら遊びに行きます。
楽しいお友だちとの出会いを描いたお話です(福音館書店)
【manpukuポイント】
手の長いうさぎ「くるりくら」に、思わず目が釘付けになる一冊。「ぐりとぐら」シリーズを読むと、子どもの世界をのぞいている感じがします。
【おすすめ年齢】
4〜5歳から
『じっちょりんの たんじょういわい』かとう あじゅ
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【内容】32 ページ
桜の花びらの舞うころは、じっちょりんが生まれる季節です。
かたばみ、なずな、ほとけのざ…道ばたに花が咲くなか、赤ちゃんをむかえるじっちょりんの家族は、ワクワクしながらたんじょういわいの準備をします。
そしてついに赤ちゃんが…(文溪堂)
【manpukuポイント】
草花の種を集めて、いろいろな所に植えるじっちょりん家族。人間からすると、小さな小さなじっちょりんたちは、移動するのも一苦労です。第5弾の今作は、桜の木の下に移動して、新しい家族の誕生を祝います。
じっちょりんシリーズを読んだことのない人は、ぜひ一度この世界観を味わってみてください。
【おすすめ年齢】
3〜4歳から
『まりーちゃんと ひつじ』フランソワーズ
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【内容】64ページ
小さなマリーちゃんと羊のパタポンは大の仲よし。
詩のようにリズミカルな原文の味わいを生かした、かわいい絵本(岩波書店)
【manpukuポイント】
名作絵本です。「まりーちゃんとひつじ」「まりーちゃんのはる」の2つのお話が入っています。
【おすすめ年齢】
4〜5歳から
『はるをさがしに』亀岡 亜希子
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【内容】
春待ち遠しい山の中,オコジョのタッチィには楽しみが一つありました。なかよしのくまさんが冬眠からさめることです。
タッチィは早くくまさんに起きてほしくて、春をさがす旅に出ます(文溪堂)
【manpukuポイント】
「オコジョのタッチィ」シリーズとして、夏・秋・冬の絵本も出ています。どれも友だちを想う優しいお話です。
【おすすめ年齢】
4〜5歳から
『14ひきの ぴくにっく』いわむら かずお
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【内容】32ページ
「きょうはなんて いいてんき。みんなで、はるののはらへでかけよう」お弁当と水筒をもって、出発です。
森には、あちこちに、新しい春の命が。ゼンマイが芽を出し、目を覚ましたアマガエルたちの鳴く声がきこえてきます。すみれ、やまぶき、ちごゆり、ふでりんどう…花々が咲き、春の訪れを告げています。
14ひきたちは、森をぬけ、つくしの道をあるいて小川をわたり、たんぽぽ野原へ…。
人気ロングセラー「14ひきのシリーズ」の第5作。森の緑と野原の緑のちがいや、春の光をうけた美しい花々が丹念に描かれています。見返しには、本作に登場する花の絵と名前が記されています。
14ひきたちと一緒に、春の風、春のにおいを、絵本を開いて、ぜひ感じてみてください。(童心社)
【manpukuポイント】
大人気「14ひきの」シリーズの一冊。どの絵本も、動植物の細かな描写はもちろん、出てくる食べ物も魅力的です。「ぴくにっく」ではお弁当の三角おにぎりがおいしそう。
【おすすめ年齢】
32ページ
『おなべおなべ にえたかな?』こいで やすこ
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【内容】32ページ
キツネのきっこは、イタチのちいとにいと一緒に、おおばあちゃんのところにタンポポを摘んでもっていきました。
おおばあちゃんはニンジンスープを煮ているまっ最中。
おおばあちゃんに急用ができ、3人はスープの入ったお鍋の番をすることになりました。
何回も味見をしていたら、いつのまにかお鍋はからっぽ。あわてて水と豆を入れ、仕上げにタンポポも入れると…。
春の香りと春の味がいっぱいの絵本。(福音館書店)
【manpukuポイント】
きっこたちがお鍋と協力して作るスープが温かくておいしそう。文章もリズミカルで読んでいて楽しくなります。
【おすすめ年齢】
3〜4歳から
『まんなかのはらの おべんとうや』
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【内容】32ページ
お弁当屋のあなパパさんは、今日もお弁当を配達してまわります。
すると、どこからか 「おなかすいたー」 と声が聞こえてきて…(フレーベル館)
【manpukuポイント】
とっても優しいお弁当やの「あなパパ」さんが主人公。春にぴったりのお話です。他にシリーズで2冊出ています。
【おすすめ年齢】
4〜5歳から
『こぶたのブルトン はるはおはなみ』中川ひろたか /文、市居みか /絵
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【内容】32ページ
お花見が大好きなタカサキさんが、ブルトンとアンドレを誘って高崎山へ。ネコやサルが出てきて、いろいろなことが起こります。(アリス館)
【manpukuポイント】
お花見の季節にぴったりの絵本です。主人公のブルトン以外にも、だるまのタカサキさんなど、個性豊かなメンバーが勢ぞろい。
他に、夏・秋・冬の絵本も出ていますが、どれも思いも寄らない方法へいくお話ばかりで面白いですよ。
【おすすめ年齢】
3〜4歳から
『カピバラせんせいの バスえんそく』大塚 健太 /文、くさか みなこ /絵
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【内容】32ページ
今日は、楽しい遠足です。みんなでバスに乗って出かけました。
ところが、のんきなカピバラせんせいは、行き先を忘れてしまいました。
でも・・・「だいじょうぶ、だいじょうぶ。なんとかなるさ」持ち前の明るさと、おおらかさで先に進みます。
あらまた、大変! 木が倒れていて道がふさがれています。でも…「だいじょうぶ、だいじょうぶ」…といった調子で、ハプニングがあってもあわてず、乗り切ってしまうのが、カピバラせんせいです。
そのままいくと、森の中で大きなヘビに出くわしました。さあ、大変! 一目散に逃げ出しました。
さて、遠足の目的地は、どこだったのでしょうか? ねずみえんのみんなは、無事につけたでしょうか?(小学館)
【manpukuポイント】
幼稚園・保育園に通うお子さんにぴったりの絵本です。のんびりマイペースな「カピバラせんせい」は、子どもたちをどこに連れていくのでしょうか?
【おすすめ年齢】
3〜4歳から
『わたしのワンピース』にしまき かやこ
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【内容】44ページ
空から落ちてきた真っ白い布で、うさぎさんがワンピースを作りました。
それを着てお花畑を通るとワンピースは花模様に、雨が降ると水玉模様に…、次々と柄が変わります。
日本を代表するファンタジー絵本。(こぐま社)
【manpukuポイント】
読み継がれてきた名作ファタジー絵本。いつ読んでも大丈夫ですが、お花の咲く季節に思い出す一冊です。
【おすすめ年齢】
1〜2歳から
『ミリーのすてきなぼうし』きたむら さとし
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【内容】32ページ
お気に入りのぼうしを買おうとお店に入ったミリーですが、お金がありません。
代わりにお店の人がくれたのは想像のぼうしでした。ミリーは次から次へといろんな想像のぼうしをかぶって街を歩きます。
そして、ミリーの目にうつる人々の頭にも…。子どもたちの想像力を刺激する、楽しい絵本(BL出版)
【manpukuポイント】
明るい色の服を着て、おしゃれしたくなる春。こんな帽子の絵本はいかがですか?
想像は自由。想像できることは素敵。温かなメッセージが伝わってきます。
発想が海外の絵本っぽい?と思いながら読んでいましたが、日本の作者さんで意外でした。
【おすすめ年齢】
5〜6歳から
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