【良い本の選び方3】年齢より上の本を、早く与えようとあせらない(幼児編)

絵本を選ぶ時に一番多い疑問が、「この絵本、今のこの子に合ってる?」や、「内容を理解できそう?」という対象年齢についてではないでしょうか。

私もいろいろ勉強しましたが対象年齢の考え方は難しいので、絵本紹介記事の「おすすめ年齢」は慎重に考えています。

この記事では、幼児期に大切にしたい対象年齢のポイントをお伝えします。 

目次

「絵本年齢」は「実質年齢」より下になる

本の裏に「赤ちゃん絵本」「○歳〜○歳向き」「読んであげるなら○歳から」など、書いてくれている本もありますが、それは一部。特に明記されていないのがほとんどです。

まず一番大事なことは、「絵本年齢」は「実質年齢」と同じではないということです。

例えば、実質年齢が3歳の子であれば、絵本年齢は1〜2歳。
5歳なら、3〜4歳です。
ちょっと内容がやさしいかな? と思う程度の絵本を与えるのが、実はちょうどいいんです。

SNSを見ていると、絵本年齢より上の絵本を与えている親御さんが多いなと感じます。特に小学校低学年の親御さんです(気持ちはとてもわかります!)

ときどき冒険することで、成長が促されたり、「こんな絵本も聞けるようになっていたんだ!」という発見があったりしますが、冒険ばかりだと疲れてしまうかもしれません。

「子どもの本に関しては、大は小を兼ねない。子どもにとっては『わかる』ことが心の開放感で、一番楽しいことだ」
絵本・児童文学研究センターの講座で先生がくり返していた言葉で、私の本選びの指針です。

早く与えようとあせらずに、絵本年齢はゆっくりゆっくり上げていきましょう!

幼児期の「量の認識」について(数)

幼児期の「量の認識」については、保育士さんならご存知だと思います。

量の認識は、1〜3、1〜5、1〜10・・・というふうに、だんだんと発達します。
2歳半くらいまでの絵本は、1画面に「3」までがちょうどいいです。
3歳になる頃から「5」以上になっても大丈夫ですが、個人差があるのでお子さんの様子を見て合わせましょう。
幼児期の量の認識は、大人が思っているよりもゆっくり育ちます。ここでも「あせらない」が大切です。

例えば、『しろくまちゃんのほっとけーき』『ぐりとぐら』という人気絵本があります。
おいしそうなお菓子を作る過程が魅力的なお話で、50年もの間読み継がれてきた「スタンダード」です。

どちらも絵本年齢の分類では「0〜3歳前後」になるのですが、もっと細かく考えると、『しろくまちゃんとぱんけーき』は1〜2歳から大丈夫なのに対し、『ぐりとぐら』は3歳をすぎてからになります。

それぞれの食べるシーンを開くとわかります。『ぐりとぐら』は登場する動物の数が多く、「5」以上ですね。

このように、一画面に登場する人物・動物などの数は、絵本年齢の判断材料になります。

だんだん「大きくなる」「小さくなる」という量感覚

幼児期の絵本によくある、だんだん大きくなったり小さくなったりという量感覚も、少しずつ発達します。

「大・小」だけなら0〜2歳でもわかります。
でも「大・中・小」以上になると、3歳をすぎてからの理解になるので注意してください。

例えば、『おおきなかぶ』では、おじいさん→おばあさん→孫→犬・・・というふうに、登場人物が小さくなります。
『三びきのやぎのがらがらどん』では、小→中→大と大きさのちがうやぎが登場し、『てぶくろ』では次々にやってくる動物がだんだん大きくなってドキドキします。

この3冊は、「3〜4歳前後」になります。

文字数の「多い」「少ない」で判断しない

文字数が少ない絵本は小さい子向けと思いがちですが、実はそれは間違いです。

ルース・クラウスの『はなを くんくん』という名作絵本があります。

森の中で冬眠していた動物たちが、春の気配に目を覚まし、はなをくんくんしながら駆け出します。

そしてみんなが一斉に止まったところには、雪の中から黄色のお花が顔を出しています。

モノクロの中、黄色の花だけが色鮮やかに描かれ、動物たちの春を迎える喜びが伝わってくる、とても素敵な絵本です。

この絵本は文章が少なく、くり返しも多いので、2〜3歳の子でも聞くことができます。
でも、絵本年齢は「5〜6歳前後」になります。

なぜかというと、この絵本の動物たちの喜びを理解するには、春夏秋冬の経験が必要だからです。寒い冬が終わったら、暖かい春が来てみんな笑顔になる、ぼくも・わたしも嬉しい! という実際の体験です。

このように、その絵本を理解できる経験があるかどうかも、判断材料の一つになります。

ここまで書いてきて、う〜ん難しい!!と私も改めて実感しました(苦笑)
量感覚のこと、経験のこと、そして少しやさしめな絵本を選ぶことを、参考にしてみてください。

絵本・児童文学研究センターの工藤 左千夫先生の本に、くわしく書かれています。

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