「メンタルローテーション」という言葉を聞いたことはありますか?
日本語では「心的回転」と訳されます。
頭の中で物体が回った様子をイメージすることです。人の知能と大きな関係があると言われています。
この記事では、メンタルローテーションについて講座や書籍で学んだこと、そして、この夏長男と実践したメンタルローテーションUPの取り組みをご紹介します。
「メンタルローテーション」をわかりやすく説明すると?
ある物体がそこにあって、それを後ろや横から見た時、どのように見え方が変わるかを考える問題は、小学校受験の問題集にもよく載っています。

今年7月に行われた吉田たかよし先生のオンライン講座で、そういう頭の中でくるくるして考えることを「メンタルローテーション」と言うことを知って、すごく興味を引かれました!
小3くらいまでに図形能力は伸ばしておかないと、高学年以降、展開図や切断面の問題が解けなかったり、補助線を引けない子になるという話を聞きますよね。
うちは長男が小3なので、リミットが迫っています…。図形能力を底上げするような方法を探していたんです。
すぐにネットで調べたところ、あまりメンタルローテーションに特化した本はなく、脳科学者・池田 祐二さんの『メンタルローテーション “回転脳”をつくる』が、一般向けの唯一の書籍のようでした。
(同じ池谷さんの『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』の中でも触れられています)

問題部分をコピーして、毎日1枚ずつ取り組めるようにしました(まだ始めたばかり)
池谷さんによるメンタルローテーション解説をまとめると、次のようになります。
●メンタルローテーションは、紙に書かれた二次元の図形を上下左右に反転させるシンプルなものから、三次元の物体を自在に回転させる高度なものまで、さまざまある
●メンタルローテーションが上手な人ほどIQが高い
●メンタルローテーションは、頭の中で物体をクルリと回転させる手軽なイメージ操作ではなく、わざわざ自分が物体の周りをめぐって別の角度から眺める仮想的な身体運動である
●メンタルローテーションは、立体思考の基盤になっている。それをさらに2つに分けると…
垂直思考:一つの問題を徹底的に深く掘り下げて考え抜く能力
水平思考:推理力や応用力や創造性を生み出す、発想力
●優れたスポーツ選手は、メンタルローテーションの能力が高い
●メンタルローテーションの能力は、論理力・算術力・問題解決力とよく相関する
●メンタルローテーションは身体能力なので、努力で鍛えられる
普段の暮らしや仕事でも、物事をいろいろな方向から柔軟に認識して、解決までの道筋をつけられる人は、頭の良い人だなと感じます。
きっとそういう人は、メンタルローテーションが優れているのでしょう。では、いったいどうやって鍛えたらいいのでしょうか…!?
メンタルローテーションは「頭の良さ」の源泉。鍛える方法を知りたい!
過去の研究では、スポーツやジャグリング、テレビゲームで、メンタルローテーションの能力が上がったことが証明されているそうです。
前述の吉田たかよし先生の講座では、家庭でできる幼児向けのトレーニング方法として、次のようなものを挙げていました。
●コップやティッシュ箱、牛乳パックなどをいろいろな方向から見てみる(物は動かさない)
●ティッシュ箱など(立体図形がすでに頭の中にでき上がっている)を、切り開いて展開図にする(平面にする)
展開図→立体は難しいのでこのあとで
●公園のアスレチックで立体的な運動を体験する(特にジャングルジムは良い)
●日常の中でさりげなく方向(東西南北)を教えてあげる
勉強だけでなく、スポーツや公園遊びなど、身体を動かすことでも鍛えられるようですね。
さらに、池田さんは、おもちゃでも3D思考が鍛えられるとおっしゃっています。
●自由度が高いシンプルな積み木やレゴブロック
●立体になっているパズル
●サボテンバランスなどのバランスゲーム
サボテンバランスは持っていないですが、調べたらすごく可愛い商品でした。
うちにあるバランスゲームは定番のジャンガくらい。いろいろな方向から見ようとしたり、崩れそうなところがないか注意するので、3D思考が鍛えられそうですね。
シンプルな積み木は出産祝いでいただきましたが、幼児の時に遊んだっきり。
その分息子たちはレゴが大好きで、今も遊び続けています(コスパ最高!)
池谷さんは大人でもメンタルローテーションを鍛えられるとおっしゃっていますが、
吉田先生は、「脳(考える力)の臨界期」という意味では、10歳までが重要とおっしゃっていたので、おもちゃや遊びを通して、なるべく小さいうちから働きかけたいですね。
それではここからは、これまで息子たちと取り組んできたことをご紹介します。
次の3つで、メンタルローテーションを少しは鍛えられたのでは?と思っています。
①絵本を読んで興味を刺激
物の見え方に注目した絵本が2冊あります。どちらも同じ『まえむき よこむき うしろむき』というタイトルです。

どちらの絵本も、いろいろな物・生き物を前・横・後ろの3方向から見せてくれます。

井上 洋介さんの『まえむき よこむき うしろむき』はこんな感じ。
他の作品同様とてもユニークで、絵に温かみと愛嬌があります。長男も私も大好きな絵本です。

こちらは鈴木まもるさんの『まえむき よこむき うしろむき』。次男4歳はこの絵本が好きです。
写真のように、魚のページ、虫のページ、電車のページというふうに図鑑のような構成になっています。
どちらの絵本も3〜4歳くらいから楽しめます。
見る方向によって見え方が変わってくるということが、小さい子にもわかって、興味をもってもらえるきっかけになると思います。
②市販の教材やゲームで鍛える
長男が年中の頃からやってきた、ピグマリオンの家庭学習用教材。今も毎日の勉強の中で、2〜3枚ずつ解いています。

ピグリの「空間と位置」は、鏡や水面にうつった時どのように見えるかなど、まさにメンタルローテーションにかかわる問題ばかり。
長男は夏休みに解き直しをしてみましたが、後ろから見た時にどう見えるかという問題で少し苦戦していました。
「積み木 ブロック推理」のシリーズも思考力を鍛えられます。
積まれたブロックの数を認識することと、ある方向から見たと時にどのように見えるかを考えます。
「立体4目ならべ」は、オセロの立体バージョンのような対戦ゲーム。
ルールが難しくないので(とにかく一列揃えればいいだけ)、将棋などに興味がない長男もときどき楽しんでいます。コンパクトで片付けやすいのもいいです。
あとは、ピグマリオン「思考力養成講座」に入っていた、サイコロや折り紙展開の問題などをちょこちょこやっています。
小学校中学年になると、勉強内容が増えてくるので、図形能力の刺激は「すきま時間に・楽しく」がちょうどいいです!
↑立体の名前を覚える時に使っています(立体14個入り)。底が取り外せます。
③おりがみで遊びながら鍛える
小4になる前に、メンタルローテーション・図形能力を刺激したい!という思いがあったので、夏休みの自由研究におりがみを提案しました。
少し前にユニットおりがみにハマっていた時期があったので、本を見ながら順番に薗部式ユニットおりがみを作っていきました。
ユニット数が多くなるにつれ、説明をよく読まないと途中でわからなくなり、何度かやり直し。
最終課題の90枚組に到達する頃にはコツをつかんだようで、職人のように黙々と組んでいました(笑)
図形能力だけでなく、説明書きとイラストから情報を正しく読み取る、読解力の訓練になった気がします。

完成した立体を分析しながら説明するリーフレットも、パソコンで打って作りました。
毎年の自由研究で「本」を作ることで、文章力が格段にアップします(小3くらいまでは親のサポートが必要ですが、かなり効果的です)

すっかりおりがみにハマった長男。
ユニットおりがみと並行して、さくBさんのYouTube を見ながら生き物も折り始めました。
写真はとってもリアルなウーパールーパー。一番最初にお父さんと折ったものは、2時間半もかかったそうです。
家中のおりがみ熱に影響を受けて、次男も興味をもってくれたようで良い感じです。

以上3つが我が家で取り組んだことですが、きっとまだまだメンタルローテーションを鍛える方法はあると思います。
脳の臨界期は10歳くらいまで。ちょうど親子で一緒になっていろいろなことを楽しめる時期です。
絵本やおりがみ、おもちゃなどを活用しながら、遊びの延長でメンタルローテーションを育めたら素敵ですね。
48枚組までのユニットおりがみが載っています。今回の自由研究で、この本に載っているほとんどの作品を作りました。
新宮 文明さんの本は、どれも説明がわかりやすくて作りやすいです!
90枚組の作り方を知りたくて、急いで買った北條 敏輝さんの本です。重ね箱なども載っています。
大量のユニットを折るために、まとまったおりがみが必要だったので、どどんと1000枚購入。
ほどほどに薄くて折りやすかったです。お子さんの工作にも。
おりがみはいつも100均でしか買いませんが、このおりがみは別です。お値段はしますがうっとりするほど綺麗です。光が当たるとつやつやキラキラ…☆ 適度な硬さを出せます。
ユニットおりがみ完成写真の、下段・右から2番目のサイコロがくっついたような立体で使っています。
コメント