加古 里子さんの科学絵本で、科学の本質を学ぶ【小学生におすすめ】

日本の科学絵本の第一人者といえば、加古 里子さんです。

600冊以上あるという作品の中には、科学の面白さを子どもたちに伝えられる良質な科学絵本がたくさんあります。

この記事では、その中でも科学的な考え方、科学の本質を学べる5冊をご紹介します。

目次

日本には良質な科学絵本がたくさん。その理由とは?

少し前の記事で、理科好きに育つ書籍として、学習漫画やビジュアル豊富な読みもの系の書籍をご紹介しました。どれも子どもが楽しく読めるよう工夫されています。

学習漫画は主に小学生を対象にしているので、わかりやすく最後まで飽きさせない構成になっていますね。

それらも知識の吸収に役立ちますが、その前段階として、もちろん自然体験が欠かせませんが、小さい頃から良質な科学絵本をたくさん読んで、科学の不思議さや面白さを存分に感じておくことも大切です。

私が子どもの本について勉強した絵本・児童文学研究センターの講義でも、年齢ごとの講義の中で科学絵本はたくさん紹介され、後半では「科学的認識と作品群」という科学に特化した講義もありました。
それほど、幼少期に本を通して科学的な感性を高めていくことは大事なことなんです。

というのも、科学的認識を育てるには、いくつかのプロセスがあるからです。

子どもたちは実際の体験や本などから得た知識をもとにして、さまざまな思考的操作を行いながら成長します。
思考的操作には下のように3つあります。

なるべく簡単に書こうと思いましたが、やっぱり難しい!
先生も難しくて頑張って図式化したとおっしゃっていたので、これはもう仕方ないですね(笑)

②の分析的操作の、個別から全体へという考え方は、後でご紹介する加古 里子さんの科学絵本を読むと、なんとなくつかめるはずです。

実際に、小学校から高校までの教科書のカリキュラムは、この流れになっているそうで、全く問題ないそうです。
それにもかかわらず、日本で理系科目が苦手な子が多い理由は、①の実験的操作が少ないため。

長男が小1〜2年だった時の生活科の様子を聞いていても、やはり実験的要素は少なめで(私の小学生時代よりは多い気がしますが)、担任の先生の力量・知識量にもかかわってくる、というのが正直な感想です。

だからこそ、家庭でどう過ごすかが重要です!

屋外での自然体験(直接体験)、良質な科学絵本の読み聞かせ(間接体験)を通して、苦手意識のない低学年のうちに、科学の面白さをたくさん教えてあげたいですね。

日本のカリキュラムには実験的操作が少ないですが、その分?と言っていいのかわかりませんが、科学を扱った良質な絵本が多いそうです。

今いる場所から大宇宙へ! 科学の本質を感じられる絵本

加古 里子さんは東大工学部を卒業されている、“児童文学界の科学者”です。くわしいプロフィールはこちらへ≫
これまで、息子たちに加古さんの科学絵本をたくさん読んできましたが、お話としても面白く、絵も印象的なので、一冊一冊がしっかりと印象に残っています。

その中から、『ぼくのいまいるところ』という1968年に出版された絵本をご紹介します。
童心社の「かこさとし かがくの本」全10巻シリーズとして出されたものの、第1巻目です。

この絵本は、主人公である「ぼく」の瞳のアップと、「いまいるところはどこか」という問いかけで始まります。

「ぼく」は庭で飼い犬とキャッチボールのようなことをして遊んでいます。
でもそれをどんどん俯瞰していくと・・・

「ぼく」の家は町の中にあり、大きな街の隣りにあり、富士山が見える地域にあり、日本の中にあります。

日本は太平洋にある島国で、それは地球にあります。地球の周りを月が回り、地球は太陽の周りを回っています。太陽系です。

太陽系は銀河系をつくり、その他にもある大きな星の集まりが何億もあって・・・大宇宙の広がりとなっています。

そこまで到達したところで、「ぼく」は流れ星となって、元の場所に戻ってきます。

今いるところ(個別)から大宇宙(全体)へ行って、また元の場所(個別)に戻る、こういう考え方そのものが科学的です。

この絵本のあとがきで加古さんは、次のように書かれています。

「わたしたちは、無限という宇宙空間時間の流れの中で生きているといいます。
そうした大きな、広い、長い中での存在というもの、それを認識するということは、とてもむずかしいことですし、大切なことであると考えます。」

実際にこの絵本のように、自分のいる場所を大宇宙まで俯瞰して見ることはできません。
それでも、私たち一人ひとりが、空間と時間の2つの軸で生きていることは事実。

良質な科学絵本を読むことで、少しずつ実感や認識をもてるようにしていくことは大切で、そういうものの考え方の訓練をすることが科学の本質だと考えています。

『ぼくのいまいるところ』のおすすめ年齢は小1からです。ぜひ読んでみてください。

川から宇宙へ。壮大なスケールが魅力の科学絵本4部作

続いてご紹介するのは、加古さんの科学絵本の中でも有名な『かわ』を含む4部作です。

おすすめ年齢は、『かわ』小1〜2年、『海』小3〜4年、『地球 その中をさぐろう』小4〜5年、『宇宙 そのひろがりをしろう』小5〜6年です。4冊は順番に適した年齢に読むことで、らせん状に科学的認識が広がっていく構成になっています。

『かわ』は、高い山々に積もった雪が溶けて流れるシーンから始まります。

流れ出た水は谷川となって山を下り、ダムを通り、平野に流れます。

人々の暮らしの横を通りながら、大きな街に出た川は、最終的には大海に流れ込みます。

最後の「うみを こえて いこう。ひろい せかいへーー」という言葉は、読み手である子どもたちへの呼びかけでもあります。

川を擬人化することによって、子どもたちが自分自身の実感を見つけていけるような科学絵本になっているんです。

この絵本は、川のことだけでなく、「山の高さをはかる測量の仕事」「浄水場の入り口」「稲作の仕事」など書きき切れないくらいたくさんの情報が、ページのあちこりに散りばめられています。
理科だけでなく、社会科の学習にも役立つ絵本です。

『海』は、浜辺で遊ぶシーンから始まりますが、どんどん海の深い部分へともぐっていきます。
「うみを しらべて いつのまにか ちきゅうを ぐるりと まわって しまいました。」ということで、『地球』に続きます。

『地球 その中をさぐろう』は、原っぱを駆けまわるシーンから始まり、どんどん地中の深いところまでもぐっていき、マグマのもとが生まれるところまで到達します。

地球の真ん中が高温になっていることを知るには、地球のできた過程を知る必要があり、話は次の『宇宙』へと続きます。

『宇宙 そのひろがりをしろう』は、少しだけ『ぼくのいまいるところ』と似ていますが、小学校高学年に向けて書かれた高度な科学的思考がつまった絵本になっています。

最初は「ノミ」の跳躍の説明から始まり、人類がどのようにして高く遠くまで飛ぶ術を見つけていったかという話で進んでいきます。

最終的には、重力という壁を超え宇宙へ。宇宙に関する説明はもちろん、望遠鏡やロケットの歴史など、この胃冊にさまざまな知識が詰まっています。

「この おおきな うちゅうは にんげんが はたらいたり かんがえたり たのしんだり するところです。
この ひろい うちゅうが あなたの かつやくするところです。」

加古さんからの激励で、4部作は締めくくられます。

4冊は内容の高度さが段階的になっているので、おすすめ年齢通りに読んだ方が楽しめると思います。

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