普段の読み聞かせの中に、ぜひ取り入れてほしいのが「昔話絵本」です。
書店に並ぶ新しい絵本に比べると地味ですが、知恵や教訓が散りばめられたお話は、子どもの頃に読むことで得るものがたくさんあります。
この記事では、5〜6歳向けの昔話・世界の名作絵本をご紹介します。
目次
なぜ「昔話絵本」を読む必要があるの?
昔話は「民話」と呼ばれるものの一つで、普通の創作絵本とは違います。
長い年月にわたって受け継がれてきたお話なので、昔の人たちの知恵や教訓がたくさん詰まっているんです。
親子で昔話絵本を読むことで、普段の生活で伝えるのが難しい困難の乗り越え方や人生の教訓などを、子どもたちに伝えることができます。
くわしくは下の記事に書いてるので、読んでみてください。「ダイジェスト絵本」についても書いています。
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この記事では、5〜6歳向けの昔話・世界の名作絵本をご紹介します。
読んでおきたいレベルを、★印で表したので、ぜひ参考にしてくださいね。
★★★ 読み逃したくない作品
★★ 余裕があれば読んでほしい作品
★ そこまでメジャーではないけど面白い作品
5〜6歳向け 昔話・世界の名作絵本リスト(17冊)
『うさぎとかめ』イソップ寓話、ポール・ガルドン ★★★
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【内容】38ページ
うさぎが言いました。世界で1番、足の速いのはおれさまだ。
かめが言いました。では、あの山まで競争しよう。
うさぎはひとっ飛びに走って、ちょっとひと休み。
有名なイソップのお話です。(童話館出版)
【読んでおきたいレベル】★★★
『王さまと九人のきょうだい』中国の民話、赤羽 末吉 /絵 ★★★
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【内容】42ページ
子どものいないおじいさんとおばあさんの所に、ある日9人も赤んぼうが生まれました。
このきょうだいが成長したとき、王さまが大難題をふっかけてきました。
中国の少数民族のお話の傑作絵本。(岩波書店)
【manpukuポイント】
9人の子どもたちの名前は、「ちからもち」「くいしんぼう」「はらいっぱい」「ぶってくれ」「ながすね」「さむがりや」「あつがりや」「切ってくれ」「みずくぐり」です!
異なったキャラクター・個性が集まって、大きなことを成し遂げる気持ちのいいお話。
【読んでおきたいレベル】★★★
『おむすびころりん』よだ じゅんいち /文、わたなべ さぶろう /絵 ★★
【内容】33ページ
おむすびころりん すっとんとん。日本古来のねずみ浄土話を、リズミカルな語り口とおおらかでユーモアたっぷりの絵で描きます。(偕成社)
【読んでおきたいレベル】★★
『かさじぞう』瀬田 貞二 /再話、赤羽 末吉 /絵 ★★★
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【内容】20ページ
編み笠を作って暮らしているじいさんは、正月の餅を買うために、笠を五つ持って町に売りに出かけましたが、さっぱり売れません。
そのうちに日が暮れて雪も降ってきたので、しかたなく戻ってくる途中、野原に立っているお地蔵さまに雪が積もっているのを見て、持っていた笠を全部かぶせてあげました。
翌朝、どこからか橇引きの声が…。赤羽末吉の最初の絵本。(福音館書店)
【manpukuポイント】
小2国語の教科書にも載っているお話です。人知れず良い行いをすると、いつか自分に返ってくるかもしれない。そんな日本人らしい教えが含まれています。
【読んでおきたいレベル】★★★
『3びきのくま』ロシア民話、トルストイ /文、バスネツォフ /絵 ★★★
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【内容】32ページ
森で迷子になった女の子は、小さな家を見つけます。
食堂には大きなお椀、中くらいのお椀、小さなお椀に入ったスープが。女の子は小さなお椀のスープをぜんぶ飲んでしまいます。
隣の寝室には大きなベッド、中くらいのベッド、小さなベッドが。女の子は小さなベッドで眠ってしまいます。
そこへ、散歩に出かけていた3匹のくまが帰ってきます。この家は大きなお父さんぐま、中くらいのお母さんぐま、小さな子どものくまの家でした…。(福音館書店)
【manpukuポイント】
くま一家のお椀とベッドは、身体の大きさに合わせ、大(父)・中(母)・小(子)とはっきり違っています。勝手に入り込んだ女の子は、小さいお椀のスープを飲んで、小さいベッドで眠りました。
幼児期は「家の中での自分の位置」を確認することで安心して、外の世界に出ていけます。この絵本もそういう作りになっているので、不登校の子にもおすすめです。
【読んでおきたいレベル】★★★
『だいくとおにろく』松居 直 /再話、赤羽 末吉 /絵 ★
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【内容】28ページ
何度橋をかけてもたちまち流されてしまう川に、橋をかけるよう村人に依頼された大工が、川岸で思案していると、鬼が現れて、目玉とひきかえに橋をかけてやるといいます。
いいかげんな返事をしていると、2日後にはもうりっぱな橋ができあがっており、鬼は目玉をよこせとせまります。
「おれのなまえをあてればゆるしてやってもええぞ」と鬼がいうので、大工は…。日本の昔話の絵本。(福音館書店)
【manpukuポイント】
岩手の民話だそうです。他のお話とは一味ちがう? 大工の適当で豪胆な性格と、強いか弱いかわからないような鬼の対比が面白いお話です。
【読んでおきたいレベル】★
『十二支のおはなし』内田 麟太郎 /文、山本 孝 /絵 ★★
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【内容】32ページ
お正月に神様のところへあいさつに行くことになった動物たちのゆかいなお話。
ダイナミックなイラストとリズミカルなお話の絵本。(岩崎書店)
【manpukuポイント】
山本さんの絵がユニークで、動物たちが飛び出してきそうです。十二支に興味をもつきっかけに。
【読んでおきたいレベル】★★
『おにはそと! ふくはうち!』いもと ようこ ★
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【内容】32ページ
節分の由来がわかる絵本。鬼のお嫁さんにされてしまったおふくは、菜の花をたよりに村へ逃げ帰ります。追いかけてきた鬼に、おふくの母親は炒り豆をぶつけて「この豆から花が咲いたらおふくを返す」と言いました。鬼は今日も、花が咲くのを待っています。(ポプラ社)
【読んでおきたいレベル】★
『たなばたさま』いもと ようこ ★
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【内容】32ページ
七月七日は「年に一度のめぐりあいの日」。七夕の由来がわかる行事絵本。
恋に落ちた織姫と彦星は、熱心だった仕事を怠けるようになってしまいました。それに怒った天の神様は、天の川の両岸に2人を引き離しました。
2人は1年に1度、七夕の夜にだけ会うことを許されています。(ポプラ社)
【manpukuポイント】
由来を知ることは、未就学の子にとって重要だと思います。根っこの部分を知りたいと思うことは、入学後の勉強に役立つからです。
『十二支のおはなし』『おにはそと! ふくはうち!』もですが、ぜひ季節に合わせて読んでみてください。
【読んでおきたいレベル】★
『はなさかじいさん』石崎 洋司 /文、松成 真理子 /絵 ★★
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【内容】36ページ
ある日、おばあさんは川で立派な箱に入った子犬を拾います。
シロと名づけ、かわいがるうちに、シロは「おじいさん、わたしにのっておくれ」と話します。
山でシロは「ここほれ、わんわん」すると、大判小判がたくさん!
それを見ていた隣のなまけ者のおじいさんがシロを借りていき、山へおいたてます。
シロがなにも言わないのに、掘ってみると! 大ヘビやかえるがうじゃうじゃ。
怒ったなまけ者のおじいさんは、シロを打って殺してしまいます。悲しんだおじいさんは…!?
おじいさんとおばあさんのやさしさが、満開の桜の花を咲かせる美しい日本昔話です。(講談社)
【読んでおきたいレベル】★★
『ブレーメンのおんがくたい』グリム童話、ハンス・フィッシャー /絵 ★★
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【内容】32ページ
飼い主に見放されたロバとイヌとネコとオンドリが、ブレーメンの町の音楽隊に入ろうと出かけます。
途中で日が暮れて、やっとたどりついたのは、なんとどろぼうの家でした。
オンドリはネコの上に、ネコはイヌの上に、イヌはロバの上にたって、いっせいに窓から部屋へなだれこみました。
驚いたどろぼうたちはいったんは逃げだしますが、再び家にもどってきます。4ひきは家の中で寝ていましたが…。ゆかいなグリムの昔話絵本です。(福音館書店)
【読んでおきたいレベル】★★
『ききみみずきん』いもと ようこ ★★
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【内容】32ページ
日本に古くから受けつがれてきた昔話。誰もが一度は耳にしたことのあるお話の数々を、いもとようこのセレクションで贈ります。現代の子どもたちに日本の心を伝えたい。そんな思いがこめられたシリーズです。(ポプラ社)
【読んでおきたいレベル】★★
『こびとのくつや』グリム童話、バーナデット・ワッツ /絵 ★★★
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【内容】24ページ
最後の革を裁って眠りについた貧しい靴屋の夫婦は、翌朝、仕事場を見て驚きました。(西村書店)
【manpukuポイント】
小人を題材にした魅力的なお話はたくさんあります。『床下の小人たち』(ジブリのアリエッティ原作)や『だれも知らない小さな国』(コロボックル物語)などなど。
何気ない日常の影で、見たことのない世界があるかもしれないという感動は、子どもたちが読書をする意義の一つ。まずはこの絵本から。
【読んでおきたいレベル】★★★
『おやゆびひめ』アンデルセン童話、松井るり子 /再話、カンタン・グレバン /絵 ★★
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【内容】36ページ
花の中から生まれたおやゆびひめは、ある晩、ひきがえるにさらわれ、蓮の葉の上に置きざりにされてしまいます。
波乱万丈の末、野ねずみの家に身をよせた小さな女の子は、もぐらとの望まぬ結婚をまえに、つばめの背に乗って飛びたちます。
気鋭の作家が描くアンデルセン童話。やわらかな色彩とやさしい語り口の美しい絵本です。(岩波書店)
【読んでおきたいレベル】★★
『長ぐつをはいたねこ』ペロー童話集、ハンス・フィッシャー /絵 ★★★
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【内容】32ページ
粉屋が死んで、3人の息子たちは遺産を分けることになりました。
1番目の息子は風車を、2番目の息子はロバをもらいましたが、3番目の末息子は、たった1匹のネコだけでした。
落ち込む末息子に、ネコは長ぐつと袋を1つ用意するようにたのみます。ネコは末息子が用意した長ぐつをはくと袋を背おい、なんと王様のところへでかけていきました。
ネコはいったい何をするつもりなのでしょう?末息子はいったいどうなるのでしょうか?(福音館書店)
【manpukuポイント】
いつ読んでも引き込まれるストーリー展開と、フィッシャーの描く生き生きとした猫がかっこいい名作絵本です。親子で楽しめます!
【読んでおきたいレベル】★★★
『かえるをのんだととさん』日野 十成 /再話、斎藤 隆夫 /絵 ★
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【内容】32ページ
腹の痛くなったととさんは、お寺の和尚さんに相談に行くと「腹に虫がいるから蛙をのむといい」と言われ、蛙をのみこみます。
その後、蛇、雉、猟師、鬼と前にのみこんだものを食ってしまうものをのみこみます。
最後は和尚さんがととさんの口の中に「鬼はそとー」と豆を投げこむと、お腹の鬼が「これは節分の豆だ。痛い痛い」といって、尻の穴からとびだし逃げていくという落ちの「まわりもちの運命」という、聞いて楽しい昔話です。(福音館書店)
【読んでおきたいレベル】★
『ねずみのおよめさん』小野かおる /再話・絵 ★★
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【内容】28ページ
昔、ネズミの夫婦が一人娘のために、世界一えらいかたにお婿さんになってもらおうと考えて、お婿さんさがしを始めました。
まず、世界中を照らすお日さまが一番偉いと思って、お日さまにお婿さんになってくださいと頼みにいきましたが、お日さまは自分を隠してしまう雲の方がえらいといいます。
雲は風の方がえらいといい、風は壁の方がえらいといい、壁は…。
果たして一番えらいのは?(福音館書店)
【manpukuポイント】
『北風と太陽』のようなお話。安心できる終わり方です。
【読んでおきたいレベル】★★
次回の記事では、1〜2年生向けの昔話・世界の名作絵本をご紹介します。
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